「点字読書速度の客観化に向けて-点字読書チャートの開発--」のページ

研究代表者:大島 研介(神奈川大学)

実施期間:2013年4月〜2016年3月

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    点字読書チャート v1.0のページ

    最終更新日:2017年1月8日

    開発の意図

    点字読書に関わる研究の発展を妨げている大きな問題として、使用する文章の選定の問題があります。

    読む文章が変われば、読書速度も変わってしまうため、効果や条件の比較を行うことができません。

    例えば、片手読みにおける利き手の効果を検証するとしても、右手と左手で読む文章が違うと文章の影響が含まれてしまい、効果の検証の妥当性が失われてしまいます。

    一方で、使用する文章の難易度が同じであることを保証できれば、右手と左手の読書速度を比較することも可能となります。

    本研究では、読書速度に影響する文章の難易度を評価する方法(評価モデルの構築)を確立し、その方法によって評価済みの文章の集まりを点字読書チャートとして、公開しています。

    つまり、点字読書チャートに含まれている文章を使用することで、どの程度の難易度かがわかっている文章を使用して読書速度を評価することができるようになります。

    使用上の諸注意と限界

  • 音読用点字読書チャートです
    1. 本チャートは、音読での読書速度を予測しています。そのため、黙読での評価とは乖離が見られる可能性があります。
  • 評価モデルは発展途上です。
    1. 本チャートで採用している評価モデルは、79名の点字ユーザの方の25本の文章の読書速度のデータに基づいて構築しています。
      モデル構築を行うには、データ数が足りているとは言えず、また予測精度も十分に高いとは言えない途上のものです。
      今後さらなる研究を進め予測精度を高め、信頼性を検証していきます。
  • 点字データのみの公開
    1. 今回のチャートは高等学校の教科書で使用されていた文章を点訳して利用しています。
      点字ユーザが読むことを想定していますので、点字データのみ(.bseと.bes)を公開します。
      点字指導を行なっている方や点字の研究を行っている方で、内容に興味がある方は、メール問い合わせによりチャートの提供をしますので、T・エディタなどの点字エディタをご利用ください。

    点字読書チャートの内容と詳細

      点字読書チャートv1.0は、研究「点字読書速度の客観化に向けて-点字読書チャートの開発--」の成果報告書で提案した評価モデル(報告書内では単純モデルと表記)に基づいています。
      モデルの詳しい内容は成果報告書を参照ください。研究成果(最終報告書)へのリンク
      今回使用した25種の文章のうち、モデルに基づき、6本の文章を選び、点字読書チャートとしました。
      6本の文章は、25種のうち、難易度が低の文章として1番目と2番目に早く読めた文章を、難易度が中の文章を難易度が12番目と13番目に早く読めた文章を、難易度が高の文章を難易度が24番目と25番目に早く読めた文章です。
      それぞれの文章は、モデルに基づいて文章の違いの影響の評価がなされた文章とみなすことができます。
      ここでは、早期失明の点字ユーザと、中途失明のユーザを想定したユーザが音読した場合の読書速度を、表1に示します。
      今回のモデルに基づくと文章Aは、3歳の時に失明し、毎日点字を利用しているユーザAでは353.6 マス/分の速度で読めるのに対し、30歳の時に失明し、週に1日点字を利用するユーザBは146.3 マス/分で読むことができると予測される文章となります。
      ここで示した読書速度は、モデルに基づく予測に過ぎません。特定の個人や集団の実測ではなく、あくまで一つの目安として捉える必要があります。
      この予測と実際のユーザの読書速度とのずれは多分にある点に注意してください。

    評価モデルに基づく予測を示した表です。3歳の時に失明し、毎日点字を利用しているユーザAでは文章Aは353.6マス/分、文章Dは341.9マス/分、文章Fは326.4マス/分の速度で読める文章になります。30歳の時に失明し、週に1日点字を利用するユーザBは文章Aは146.3 マス/分、文章Dは134.6.マス/分、文章Fは119.1マス/分の速度で読める文章となります。

    表1 読書チャートの文章ごとのモデルによる読書速度の予測(数値の単位は、マス/分)

    今後の展開

  • 評価モデルの発展
    1. 評価モデルの予測力や信頼性を高めるための研究を展開します。
  • 黙読用点字読書チャートの開発
    1. 2016年度より3年間(予定)科学研究費補助金の助成を受け、黙読用点字読書チャートの開発を行います。
      詳しくは専用ページをご参照ください。
  • 点字受験における試験時間の設定への応用
    1. 本チャートを応用することで、点字ユーザの読書速度を評価し、点字受験における試験時間延長の目安を提供することを目指した研究を展開します。
      詳しくは専用ページをご参照ください。

    点字読書チャートの公開

     
  • 利用希望者には、メールにて提供します
    1. こちらの都合で申し訳ありませんが、チャートに対するニーズや使用目的・サポートのため、現時点ではHPでのダウンロードリンクは提供していません。
      興味のある方は、所属・名前・使用用途などをメールにて大島 smentics [atmarkに置き換えてください] gmail.com までお知らせください。
      メールの件名に”点字読書チャート利用希望”と入れていただけると助かります。

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